2024/04/10
社長や取締役などの法人税法上の役員は賞与をもらうことができないと思われている方もいらっしゃるので、今回は役員に賞与を支給し、これを法人税の損金として扱うことができる事前確定届出給与についてお話しします。
1.損金として認められる役員への給与
法人税法上、法人の役員に対して支給する給与について損金として算入できるものは、原則として以下の3つのものとされています。
種類 |
内容 |
定期同額給与 |
・基本的に1ヶ月以下の一定期間ごとに支給される同額の給与 ・事業年度の途中において支給金額等の改定をする場合には、一定の要件を満たさないと定期同額給与と認められない |
事前確定届出給与 |
・所定の時期に、誰に、いくら支給するか等を記載した所定の届出書を所定の期限内に税務署に提出し、届出書に記載したとおりの金額を所定の時期に支給した場合に限り損金として認められる |
業績連動給与 |
・利益や株価などの一定の指標を基礎として算定する連動型の給与で一定の要件を満たすもの |
なお、この3つのパターンに基づく支給であっても、それが不相当に高額な部分の金額であると認められる場合には損金への算入は認められないことになるので注意が必要です。
2.事前確定届出給与の留意点
事前確定届出給与を利用するときに留意する点は次の2つです。
(1)期限内に届出書を提出すること
①原則として次の(イ)と(ロ)のうちいずれか早い日までに提出すること。
(イ) 株主総会等の決議によりその定めをした場合におけるその決議をした日(その決議をした日が職務の執行を開始する日後である場合にはその開始する日)から1ヶ月を経過する日
(ロ) その会計期間開始の日から4ヶ月(確定申告書の提出期限の延長の特例に係る税務署長の指定を受けている法人のうち、一定の通算法人については5ヶ月、それ以外の法人についてはその指定に係る月数に3を加えた月数)を経過する日
②臨時改定事由が生じたことにより事前確定届出給与に関する定めをした場合
臨時改定事由が生じたことによりその臨時改定事由に係る役員の職務について事前確定届出給与に関する定めをした場合には次に掲げる日のうちいずれか遅い日までに提出すること。
(イ) 上記①の(イ)または(ロ)のうちいずれか早い日
(ロ) 臨時改定事由が生じた日から1ヶ月を経過する日
③事前確定届出給与に関する定めを変更する場合
既に上記①または②の届出をしている法人がその定めの内容を変更する場合において、その変更が次に掲げる事由に基因するときはその変更後の定めの届出の届出期限はそれぞれ次に定める日となります。
(イ) 臨時改定事由
その事由が生じた日から1ヶ月を経過する日
(ロ) 業績悪化改定事由(給与の支給額を減額し、または交付する株式もしくは新株予約権の数を減少させる場合に限る)
その内容の変更に関する株主総会等の決議をした日から1ヶ月を経過する日(変更前の直前の届出に係る定めに基づく給与の支給の日がその1ヶ月を経過する日前にある場合には、その支給の日の前日)
④やむを得ない事情がある場合
上記①から③までの届出期限までに届出がなかった場合においても、その届出がなかったことについてやむを得ない事情があると認められるときは、それらの届出期限までに届出があったものとされます。
(2)届出書に記載したとおりに支給すること
届出書に記載したとおりに、記載した支給日に支給をしないと損金に算入することができません。たとえば、届出書には100万円支給すると書いてあるのに、実際支給したのは70万円であった場合にはその支給した70万円は全額損金不算入となります。
2024/04/03
2024年4月の税務に関する税務スケジュールを分かりやすくまとめております。
3月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
納期限:令和6年4月10日(水)
2月決算法人の確定申告
申告期限:令和6年4月30日(火)
8月決算法人の中間申告
申告期限:令和6年4月30日(火)
固定資産税(都市計画税)の第1期分の納付
4月中において市町村の条例で定める日
2024/03/28
令和6年度の税制改正では、所得税と住民税の定額減税が決まりました。
定額減税の概要と給与支払者の場合の定額減税事務についてご案内します。
Ⅰ.定額減税の概要
対象者 居住者で令和6年分の合計所得金額が1,805万円以下である人
減税額 本人、同一生計配偶者及び扶養親族(居住者のみ、以下、扶養親族等)
1人につき、所得税3万円、個人住民税1万円
給与の支払者は、以下の二つの事務を行うことになります。
①令和6年6月1日以後に払う給与等に対する源泉徴収税額からその時点の定額減税額を控除する事務
(以下「月次減税事務」)
②年末調整の際、年末調整時点の定額減税額に基づき精算を行う事務
Ⅲ.月次減税事務の手順
月次減税事務は次の手順で行います。
①控除対象者の確認
令和6年6月1日現在、勤務している人のうち、給与等の源泉徴収において源泉徴収税額表の甲欄が適用される
居住者の人(以下「基準日在職者」)を選び出します。
②各人控除実績簿の作成
基準日在職者の各人別の月次減税額と各月の控除額等を管理することになります。国税庁HPに「各人別控除実
績簿」が掲載されているのでご活用ください。
③月次減税額の計算
④給与支払時の控除
[計算例]
(出典:国税庁HP)
⑤控除後の事務
給与支払明細書への控除額の表示:適宜の箇所に「定額減税額××円」などと表示
2024/03/28
2024年2月の税務に関する税務スケジュールを分かりやすくまとめております。
2024/02/09
今年も、確定申告の時期が近づいてきました。
今回は、令和5年分の所得税確定申告の主な変更点をご紹介します。
Ⅰ.個人住民税の改正に伴う様式の変更
令和6年度の個人住民税から、上場株式等に係る配当所得等及び譲渡所得等の申告における課税方式を、所得税と一致させることになりました。例えば、これまで上場株式等に係る配当所得について、所得税は総合課税、個人住民税は確定申告不要などと別々の課税方式を選択できましたが、これができないことになります。これにより、令和5年分以降用の所得税の申告書第二表の様式が一部変更されています。
〈令和4年分-変更前〉
〈令和5年分-変更後〉
(出典:国税庁HP)
Ⅱ.総合課税の対象となる者の改正
上場株式等に係る配当所得について、必ず総合課税となる者の定義が次の通り見直されました。
改正前 (R5.9.30までに支払を受ける配当等) |
改正後 (R5.10.1以降に支払を受ける配当等) |
発行済株式総数等の3% 以上を保有する個人 |
同族会社保有分と合算して発行済株式総数等の3%以上を保有する個人 |
これにより、仮に改正後に総合課税の対象となる配当が特定口座(源泉徴収選択口座)内で源泉徴収されていたとしても、総合課税として確定申告が必要となります。
Ⅲ.青色申告決算書等の様式変更
事業所得を申告する場合の青色申告決算書に、売上金額や仕入金額の明細を記入する欄が新設されました。
(出典:国税庁HP)
また、収支内訳書にある売上金額や仕入金額の明細欄に、登録番号(法人番号)の記入欄が新設されました。
以上、主な変更点になりますが、その他、納税地変更の届出書の提出が不要になったなど、細かい変更点もございますので、国税庁のHP等をご確認ください。