お知らせ

2022/09/09

事務所通信9月号

事務所通信

 

近年、日本各地において災害が頻繁に起きており、先日も台風11号が九州に接近するなど災害が多い状況です。そこで今回は災害に関する税務上の取り扱いについてご紹介させていただきます。

 

1.所得税の措置

 災害によって住宅や家財に損害を受けてしまったときに利用できる制度として、災害減免法と雑損控除があります。その年の所得金額の合計額が1,000万円以下の人が災害にあった場合には、納税者の選択によりどちらか有利な制度を選べます。

 

(1)災害減免法

   地震や台風、火災などの災害により住宅や家財に損害が生じたときに所得税を減免することを定めたもので、対象資産は自己またはその者と生計を一にする配偶者その他の親族でその年の総所得金額等が48万円以下である者が所有する住宅または日常生活に通常必要な家具、じゅう器、衣類、書籍その他の家庭用動産となります。別荘、書画、骨とう、娯楽品等の日常生活に必要でないと思われるものは含まれません。

 適用要件は家財の損害金額が時価の2分の1以上で、かつ、その年の所得金額が1,000万円以下の場合となります。具体的には以下のようになります。

所得金額の合計

軽減又は免除される所得税の額

500万円以下

全額

500万円を超え750万円以下

2分の1

750万円を超え1,000万円以下

4分の1

なお、災害減免法の適用を受けるには申請が必要となり、確定申告書等に適用を受ける旨と被害の状況および損害金額を記載して、所轄の税務署長に提出する必要があります。

 

(2)雑損控除

 地震等の災害、盗難もしくは横領により所有する資産が損害を受けたとき、一定の計算式で算出された金額を所得から控除する仕組みのことです。対象資産は災害減免法とほぼ同様となります。

控除できる金額は次の計算式のうちいずれか多い方の金額です。

①   (損害金額(注1)+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%

②   (災害関連支出の金額(注2)-保険金等の額(注3))-5万円

(注1)損害金額とは、損害を受けた時の直前におけるその資産の時価を基にして計算した損害の額です。

(注2)災害関連支出の金額とは、次のような支出をいいます。

①     災害により滅失した住宅、家財などを取壊しまたは除去するために支出した金額など

②     盗難や横領により損害を受けた資産の原状回復のための支出など

(注3)保険金等の額とは、災害などに関して受け取った保険金や損害賠償金などの金額をいいます

 

2.法人税の措置

 (1)災害により滅失・損壊した資産等

   法人の有する商品、店舗、事務所等の資産が災害により被害を受けた場合に、その被災に伴い次のような損失又は費用が生じたときには、その損失又は費用の額は損金の額に算入されます。

①   商品や原材料等の棚卸資産、店舗や事務所等の固定資産などの資産が災害により滅失又は損壊した場合の損失の額

②   損壊した資産の取壊し又は除去のための費用の額

③   土砂その他の障害物の除去のための費用の額

 

(2)復旧のために支出する費用

   法人が、災害により被害を受けた固定資産(以下「被災資産」という)について支出する次のような費用に係る資本的支出と修繕費の区分は次のようになります。修繕費と区分されるものは損金の額に算入されます。

内容

区分

被災資産についてその原状を回復するための費用

修繕費

被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出する費用

修繕費

被災資産について支出する費用(上記2つに該当するものを除く)の額のうち、資本的支出か修繕費か明らかでないものがある場合

 修繕費⇒ 30%相当額

                資本的支出⇒ 残額

 

編集後記

今回は災害時の税務上の取扱いについて紹介させていただきましたが、これ以外にも税務上の取扱いはございますので、ご不明な点があれば担当者までご連絡ください

 

2022/07/11

事務所通信7月号

事務所通信

 

今回は、来年に期限を迎える3つの贈与税の非課税制度についてご紹介させていただきます。

 

1.3つの非課税制度について

 政策税制として、下記の3つの贈与税の非課税制度があります。

非課税制度

特徴

教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税

高齢世代の貯蓄を子育て世代へ早期に移転することを通じて、教育費用の負担を軽減させつつ、消費を活性化させる

結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税

高齢世代の貯蓄を、将来の経済的不安がある若年世代へ早期に移転することを通じて、若年層の結婚・妊娠・出産・子育て資金の負担を軽減させる

住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

高齢世代の貯蓄を若年世代の住宅取得等のための資金に移転することにより若年世代の住宅の取得をしやすくさせる

                                         

2.教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置(令和5年3月31日まで)

■概要:親・祖父母が金融機関の子・孫名義の専用口座に教育資金を一括して拠出した場合には1,500万円(うち学校等以外は500万円)まで非課税となります。

■適用期間:平成25年4月1日~令和5年3月31日

■受贈者:子・孫(0歳~30歳未満、合計所得金額1,000万円以下)

■贈与者死亡時:死亡時の残高を相続財産に加算※1

■契約終了時※2:残高に対して、贈与税を課税(改正により課税対象拡大)

※1 受贈者が①23歳未満である場合、②学校等に在学中の場合、③教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合には加算の対象外

※2 ①30歳に達した日(学校等に在学・教育訓練を受講中の場合を除く)、②30歳に達した日後に年間で学校等に在学・教育訓練を受講した日がなかった年の年末、③40歳に達した日、④信託財産等が零になった場合において教育資金管理契約を終了させる旨の合意に基づき終了する日、のいずれか早い日

 

3.結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置(令和5年3月31日まで)

■概要:親・祖父母が金融機関の子・孫名義の専用口座に結婚・子育て資金を一括して拠出した場合には、

1,000万円(うち結婚資金は300万円)まで非課税となります。

■適用時期:平成27年4月1日~令和5年3月31日

■受贈者:子・孫(18歳~50歳未満、合計所得金額1,000万円以下)

■贈与者死亡時:死亡時の残高を相続財産に加算

■契約終了時:残高に対して、贈与税を課税

※ ①50歳に達した日、②信託財産が零になった場合において結婚・子育て資金管理契約を終了させる旨の合意に基づき終了する日、のいずれか早い日

 

4.住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置(令和5年12月31日まで)

■概要:親・祖父母等から住宅取得等の資金の贈与を受けた場合、非課税限度額まで非課税となります。

■適用時期:令和4年1月1日~令和5年12月31日

■受贈者:子・孫(合計所得金額2,000万円以下、18歳以上)

■住宅面積:床面積50㎡以上240㎡以下の住宅用家屋

(合計所得金額1,000万円以下の者は下限を40㎡以上)

 ■非課税限度額(令和4年1月1日~令和5年12月31日)

住宅の区分

非課税限度額

一定の耐震性能、省エネ性能又はバリアフリー性能を有する住宅

1,000万円

上記以外の住宅

500万円

(注)既存住宅は①耐震基準に適合していること又は②昭和57年以降に建築されていることが必要

(注)原則として贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅を取得等する必要がある

 

編集後記

今回のテーマは格差固定化を防ぐ等の目的で見直しが示唆されており、これまでも適用期限が延長されてきましたが、今のところいずれも来年に適用期限を迎えることから紹介させていただきました。なお、適用には細かい要件もありますのでご注意ください。

2022/06/14

事務所通信6月号

事務所通信

 ◆インボイス制度に対応する補助金 

令和5年10月1日から消費税の仕入税額控除の方式として「インボイス制度」が開始します。これに伴い、令和4年度の中小企業生産性革命推進事業では、持続化補助金IT導入補助金を対象に、インボイス制度への対応を支援する方針を定めました。今回は、これら2つの補助金の概要についてご紹介いたします。

 

1.小規模事業者持続化補助金

 

小規模事業者に対して通常枠で最大50万円(補助率2/3)が支給される小規模事業者持続化補助金には、インボイス制度が開始されることを受けて「インボイス枠」などの特別枠が設けられています。インボイス枠では、小規模事業者が免税事業者からインボイス発行事業者に転換する場合に、補助上限額が100万円に引き上げられます。

 

<補助上限額と補助率 等> 

 

<インボイス枠申請要件>

2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者であった又は免税事業者であることが見込まれる事業者のうち、インボイス(適格請求書)発行事業者の登録が確認できた事業者であること。ただし、補助事業の終了時点でこの要件を満たさない場合は、補助金の交付は行いません。

 

2.IT導入補助金2022

中小企業や小規模事業者がITツール導入に活用できる「IT導入補助金」に、通常枠に加えて「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)」などが追加されました。インボイス制度への対応を見据えて、企業間のデジタル化を一挙に推進するため、会計ソフト・決済ソフト・ECソフト等のITツール(ソフトウェア)に加えて、パソコン・タブレット端末・レジ・券売機等のハードウェア導入費用を優先的に支援する制度です。通常枠よりも補助率が引き上げられています。

 

<デジタル基盤導入類型:補助額と補助率 等> 

 

<申請時の注意点>

IT導入補助金を申請するにあたっては、事務局に登録されたIT導入支援事業者とともに、自社の生産性向上に寄与する適切なITツールを選択し、申請することが必要となります。

IT導入支援事業者についてはIT導入補助金HPからご確認が可能です。

 

2022/06/14

事務所通信5月号

事務所通信

◆適格請求書保存方式(インボイス制度)に係る見直し

令和4年4月に消費税法等の一部が改正されました。今回は、令和5年10月から始まる適格請求書保存方式(インボイス制度)に係る主な改正内容をご紹介いたします。

 

1.免税事業者の適格請求書発行事業者の登録に関する経過措置の適用期間の延長

免税事業者が、令和5年10月1日の属する課税期間中に適格請求書発行事業者の登録を受けた場合は、登録を受けた日から適格請求書発行事業者となることができる経過措置が設けられていますが、当該経過措置の適用期間が延長され、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間においても、登録を受けた日から適格請求書発行事業者となることができることとされました。

 

 

なお、上記経過措置の適用を受けた場合、登録を受けた日から2年を経過する日の属する課税期間の末日までは、免税事業者となることはできません。(登録を受けた日が令和5年10月1日の属する課税期間中である場合を除く)

 

<事業者免税点制度(基準期間の課税売上高1,000万円以下の納税義務免除)の不適用>

 

 

登録を受けた日とは、適格請求書発行事業者登録簿に登載された日となりますので、登録を受ける場合には早めに「登録申請書」を提出されてください。

なお、インボイス制度開始日(令和5年10月1日)から適用を受ける場合の提出期限は令和5年3月31日となっておりますのでご留意ください。

 

 

2.仕入明細書による仕入税額控除の適用要件の見直し

インボイス制度開始後は、買手(課税事業者)が作成する一定の要件を満たした仕入明細書等を保存することによる仕入税額控除の適用について、売手(課税仕入れの相手方)において課税資産の譲渡等に該当するもののみが対象とされました。

 

 

3.経過措置期間における棚卸資産の調整の見直し

免税事業者である期間において行った課税仕入れについて、適格請求書発行事業者から行ったものであるか否かにかかわらず、免税事業者が課税事業者となる日の前日において有する棚卸資産に係る消費税額の全額について、仕入税額控除の適用を受けることができることとされました。

 

 

免税事業者等からの課税仕入れについては、経過措置として令和5年10月1日から令和8年9月30日までは80%、令和8年10月1日から令和11年9月30日までは50%が仕入税額控除できます。ただし上図のように、経過措置期間中に免税事業者が行った免税事業者等からの課税仕入れについて、課税事業者となる日の前日において棚卸資産として保有しているときは、その棚卸資産に係る消費税額の全額が、課税事業者となった課税期間の仕入税額控除の対象となります。

 

< 編集後記 >

インボイス制度に関して国税庁のHPにて特集サイトが設けられております。

(国税庁HP▶注目ワード「消費税のインボイス制度」)

ご不明な点がございましたら、当事務所担当者までお問い合わせください。

2022/04/11

事務所通信4月号

事務所通信

新年度の4月1日から、さまざまな法律や制度が変わりました。そこで今回は何が変わったのかを身近なものを中心にお知らせします。

 

◆2022年4月1日から変わったもの

 

1.民法上の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました

民法改正で成人年齢が約140年ぶりに見直され、20歳から18歳に引き下げられました。また、婚姻年齢は男女ともに18歳以上に統一されました。成人年齢の引き下げにより、相続税、贈与税などに影響がでることとなります。

 

①未成年者控除

相続人の中に未成年者がいる場合に、その未成年者に対し相続税が一定額控除される制度で、控除の額は未成年者が成人するまでの年数に10万円を乗じた額になりますので、今までと比べて控除できる相続税額が2年分(20万円)少なくなりました。

 

②相続時精算課税適用者の要件

原則60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子または孫に財産を贈与した場合に選択できる贈与税の制度です。この制度の適用を受けることができる者の年齢が、贈与の年の1月1日において20歳以上の者(令和4年3月31日以前)から18歳以上の者となったため2年早く適用が受けられるようになりました。

 

③事業承継税制に係る受贈者の要件

事業承継制度の適用に係る受贈者の年齢要件が20歳以上から18歳以上に引き下げられました。

 

④その他の贈与税

次の特例制度の適用に係る受贈者の年齢要件が20歳以上から18歳以上に引き下げられました。

イ.贈与税の税率の特例⇒直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税は特例税率を適用するという制度

ロ.直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置⇒

結婚・子育て資金に充てるために直系尊属から信託受益権の付与等を受けた場合に1,000万円まで贈与税を非課税とする制度

 

2.賃上げ促進税制の見直し(旧、所得拡大促進税制)

積極的な賃上げ等を促す観点から税額控除額が、大企業については最大30%、中小企業については最大40%に引き上げられました。

 

3.雇用保険料率

雇用保険料率は労使で以下のように変更になっています。

 

令和3年度

令和4年4月1日~

令和4年9月30日

令和4年10月1日~

令和5年3月31日

一般の事業

9/1,000

9.5/1,000

13.5/1,000

農林水産・清酒製造の事業

11/1,000

11.5/1,000

15.5/1,000

建設の事業

12/1,000

12.5/1,000

16.5/1,000

 

4.金融教育の導入

高校の家庭科の授業において、資産形成の視点に触れた金融教育が必修となります。

普段のお金の使い方から今後の長い人生を見据えた資金計画など、幅広く金融に関する知識や技能を身につけるのが目的とされています。

 

5.年金制度の改正

公的年金支給額が令和3年度に比べて原則0.4%引き下げられます。受給開始年齢は今まで60歳~70歳であったものが60歳~75歳に拡大されます(繰下げ受給の上限年齢引上げ)。また、65歳以上70歳未満で厚生年金に加入しながら勤務している場合に毎年1回年金額を見直す在職定時改定が導入されます。

 

6.育児・介護休業法の改正

育児休業を取得しやすい雇用環境の整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け

 

7.道路交通法施行規則の改正

一定台数以上の白ナンバー車両を業務で使用する事業者に、運転前後の目視での酒気帯びの有無の確認、記録保存が義務化されました。

 

 
   

 

 

 

 

 

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