2019/05/14
中小企業防災・減災投資促進税制
平成30年中の豪雨や台風、地震等の自然災害により多くの被害が発生し、企業が受けた損害も多大なものとなりました。中小企業の被害総額は約5,000億円にも上っているという状況を踏まえ、災害に対する事前対策強化のための一定の設備投資を後押しするために、新たに『中小企業防災・減災投資促進税制』が創設されました。
なお、適用できるのは、現在国会審議中の改正中小企業経営強化法の施行日から令和3年(2021年)3月31日までとなります。
1.特別償却
一定の防災・減災設備を取得等し事業共用した場合に、その事業共用した日の属する事業年度において取得価額の20%の特別償却が可能となります。
適用にはまず、事業継続力強化に係る取組内容や防災・減災設備の内容を記した計画を策定し、経済産業大臣の認定を受ける必要があります。
なお、他の中小企業向け設備投資減税(投資促進税制等)では、特別償却と税額控除の選択適用ができるケースもありますが、中小企業防災・減災投資促進税制では特別償却のみとなっており、税額控除は選択できません。
2.対象設備および最低投資額
3.税制措置を受けるまでの流れ
4.適用例
・水害からの早期復旧を果たすため、止水板、排水ポンプなどの設備を導入
・地震発生時にサーバーがダウンしないよう、制震ラックや非常用発電機を導入
2019/04/10
中小企業等向けの税制改正について
2019年度税制改正法が3月27日、国会で可決・成立しました。そこで今回は、その中から中小企業・小規模事業者関係の税制改正についてご紹介します。
◆ 中小企業・小規模事業者の設備投資を支援する税制措置の延長
中小企業・小規模事業者の積極的な設備投資を後押しするための税制として、以下の措置の適用期限を、2020年度末まで2年間延長します。
① 中小企業経営強化税制(経営力向上計画による設備投資に対し即時償却又は10%の税額控除)
② 中小企業投資促進税制(一定の設備に対し30%特別償却又は7%の税額控除)
③ 商業・サービス業活性化税制(経営改善指導による設備投資に対し30%特別償却又は7%の税額控除)
〔改正概要〕 適用期限:2020年度末まで
(出典:経済産業省「平成31年度(2019年度)経済産業関係 税制改正について」)
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(参考 ①)中小企業経営強化税制とは
(※)資本金3,000万円超1億円以下の中小企業者等の税額控除率は7%
〔改正概要〕 適用期限:2020年度末まで
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(参考 ②)中小企業投資促進税制とは
(※)税額控除は資本金3,000万円以下の中小企業者等に限ります。
〔改正概要〕 適用期限:2020年度末まで
(出典:経済産業省「平成31年度(2019年度)経済産業関係 税制改正について」)
2019/03/11
◆消費税率引上げに伴うキャッシュレス決済のポイント還元
本年10月の消費税率引上げ対策の一環として行う、キャッシュレス決済のポイント還元事業の費用として、政府は平成31年度予算案に2,798億円を盛り込むことを決めました。
今回はこの「キャッシュレス決済のポイント還元事業」についてご紹介します。
Ⅰ.事業の目的
2019年10月の消費税率引上げに伴い、需要平準化対策として、キャッシュレス対応による生産性向上や消費者の利便性向上の観点も含め、消費税率引上げ後の一定期間に限り、中小・小規模事業者によるキャッシュレス手段を使ったポイント還元等を支援する事業です。
●消費者還元の仕組み
(出典:経済産業省「決済事業者向けパンフレット」)
Ⅱ.実施期間
2019年10月 ~ 2020年6月(9か月間)です。
Ⅲ.事業内容
(1)消費者への還元
消費者がキャッシュレス決済手段(クレジットカードや電子マネー等)を用いて中小・小規模の小売店・サービス業者・飲食店等(中小・小規模事業者)で支払いを行った場合、個別店舗について5%、フランチャイズチェーン加盟店等については2%を消費者に還元します。
消費者への還元方法はポイントの付与に加え、店頭での値引きも認めるとのことです。
(2)決済端末等の導入補助
中小・小規模事業者がキャシュレス決済を導入する際に、必要な端末等導入費用の1/3を決済事業者(カード会社など)が負担することを前提に、残りの2/3を国が補助します。
(3)決済手数料の補助
中小・小規模事業者がキャシュレス決済を行う際に決済事業者に支払う加盟店手数料(3.25%以下)の1/3を、期間中、国が補助します。
Ⅳ.「軽減税率対策補助金」と「キャッシュレス・消費者還元事業」の活用
キャッシュレス端末の導入について、軽減税率対策補助金と本制度のいずれの補助制度を活用するかは、事業者が選択する必要があります。
●制度の活用パターン
(出典:経済産業省「キャッシュレス決済端末の支援について」)
2019/02/12
平成30年分の確定申告
2月は確定申告の時期となります。確定申告においては色々な控除がありますが、その中でも今回は改めて「医療費控除」について確認しましょう。
1.医療費控除
その年の1月1日から12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額の所得控除を受けることができます。
これが医療費控除です。
2.医療費控除の対象となる医療費の要件
①納税者が、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の為に支払った医療費
②その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費
3.セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)
自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の特定一般用医薬品等購入費を支払った場合において、その年中に健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の健康診断や予防接種などを行っているときは、通常の医療費控除との選択により、所得控除を受けることができます。
セルフメディケーション税制については、対象品目について薬局のレシートにも★印がついて分かりやすくなっておりますので、医薬品等を購入される頻度が高い方は適用の可否を考えてみてはいかがでしょうか。
4.医療費控除及び医療費控除の特例の適用判定
(注意)スイッチOTC医薬品購入額及び医療費から保険金等で補てんされる金額は除く。
・スイッチOTC薬とは、医師の処方が必要な医療用医薬品から転用された有効成分を含む市販薬のことです。
※1 その年の総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等×5%
2019/01/11
平成31年度税制改正大綱について
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
さて、平成31年度の税制改正大綱が公表されました。今回の改正では、消費税率引上げに伴う景気対策として、
次の改正案が提出されています。
・〔個人所得課税〕住宅ローン減税の拡充(住宅ローン控除の3年延長)
・〔消費課税〕車体課税の大幅見直し(自動車に係る軽減措置)
そこで、今回はこの2点についてご紹介します。
Ⅰ.住宅ローン減税の拡充
消費税率引上げ後の住宅購入等を支援するため、平成31年10月1日から平成32年12月31日までの間に入居した場合を対象に、住宅ローン減税の控除期間が3年間延長(建物購入価格の消費税2%分の範囲で減税)されます。
◆税制措置の概要
① 控除期間:現行の住宅ローン減税について、控除期間を3年間延長(10年→13年)
② 控除額:適用年の11~13年目までの各年の控除限度額は、以下のいずれか小さい額
1)住宅借入金等の年末残高(4,000万円※を限度)×1%
2)建物購入価格(4,000万円※を限度)×2%÷3年
※長期優良住宅や低炭素住宅の場合は5,000万円
③ 適用要件:消費税率10%が適用される住宅の取得等をして、平成31年10月1日から
平成32年 12月31日までの間に入居した場合
※入居1~10年目は現行制度通り税額控除
※入居11~13年目についても、所得税額から控除しきれない額は、現行制度と同じ控除限度額
の範囲で個人住民税額から控除
Ⅱ.車体課税の大幅な見直し
消費税率引上げにあわせ、保有課税を恒久的に引き下げることにより、需要を平準化するとともに、国内自動車市場の活性化と新車代替の促進による燃費性能の優れた自動車や先進安全技術搭載車の普及等を図ります。
◆保有課税の恒久減税
① 自動車税の税率引下げ(恒久減税)
平成31年10月1日以後に新車新規登録を受けた自家用自動車(登録車)から、小型自動車を中心に全ての税率区分において、自動車税の税率が引下げられます。
なお、軽自動車税の税率は、変更されません。
② その他
(1)環境性能割の税率の適用区分の見直し
(2)グリーン化特例(軽課)の大幅見直し
(3)エコカー減税(自動車取得税・自動車重量税)の軽減割合・適用期限の見直し
◆環境性能割の臨時的軽減
自動車の取得時の負担感を緩和するため、平成31年10月1日から平成32年9月30日までの間に取得した自家用乗用車(登録車及び軽自動車)について、環境性能割の税率を1%分軽減します。