2015/08/10
税務通信8月号
平成28年1月1日以降の改正について
平成25年度税制改正において、平成28年1月1日から適用が開始される金融所得課税の一体化などの大きな改正がありました。
そのため今回は、その平成28年1月1日から適用が開始されるもののうち重要なものについて触れたいと思います。
1.法人における利子割の廃止
法人が平成28年1月1日以後に受ける利子等(公社債、預貯金の利子、懸賞金等のほか抵当証券、金投資口座、一時払養老保険等の金融類似商品の収益等)に係る税金のうち、地方税の部分である「利子割」の課税が廃止されることになりました。
なお、法人に係る利子割が廃止されても、法人の受け取る利子等は、その法人の所得として法人税割が課税されるため、法人の税負担は変わりません。
個人にかかる利子割は廃止されていませんのでご注意ください。
預金利息における源泉税(法人の場合)
現行 |
平成28年1月1日以後 |
国税 15.315%(内、0.315%は復興税) 地方税 5% 合計 20.315% |
国税 15.315%(内、0.315%は復興税) 地方税 なし 合計 15.315% |
通帳に200円の利息の入金があった場合は、
現行後:受取利息 250円 国税 38円 地方税 12円 入金額 200円
改正後:受取利息 236円 国税 36円 地方税 00円 入金額 200円
となり、同じ入金額でも受取利息・源泉税の金額が異なりますので、ご注意ください。
2. 金融商品に係る損益通算範囲の拡大及び公社債等に対する課税方式を変更
①利子及び収益分配金等の課税
平成28年1月1日以後に支払われる特定公社債等の利子等については、20.315%の源泉徴収はされるものの源泉分離課税の対象から除外し、20%申告分離課税の対象となります。
特定公社債等の利子等で源泉徴収が行われたものについては、確定申告において申告不要を選択することも可能です。
②譲渡、解約、償還の課税
平成28年1月1日以後に特定公社債等の譲渡をした場合には、その譲渡所得等は20%申告分離課税となります。また、特定公社債等の償還または一部解約等により支払いを受ける金額を譲渡所得等の収入金額とみなし、こちらも20%申告分離課税の対象とし、損失が生じた場合には、他の特定公社債等や上場株式等の譲渡所得等と通算可能になります。
③配当等との損益通算及び譲渡損失の繰越控除
平成28年1月1日以後において特定公社債等と上場株式等の譲渡損益の通算が可能となります。また、特定公社債等の譲渡損失と申告分離課税を選択した上場株式等の配当等との通算も可能です。
特定公社債等の譲渡損失は、上場株式等の譲渡損失と同じく3年間の繰越控除の対象にもなります。繰越年においては、上場株式等の譲渡益及び特定公社債等の利子所得、譲渡所得等から控除することができます。
平成27年中に特定公社債等を売却した場合は非課税であり、平成28年以後に売却した場合は課税されるため、利益が出ている特定公社債等は非課税である平成27年中に売却し、利益が出ていない特定公社債等は他の株式等を損益通算するために平成28年以後に売却した方が所得税法上では有利になります。
金融庁資料:「平成25年度税制改正について」より