2016/06/10
税務通信6月号
「個人型確定拠出年金」について
「個人型確定拠出年金」とは、加入者が月々お金を積み立て、預金や保険、投資信託などを自分で選んで運用し、60歳以降に年金または一時金で受け取るというものです。この制度は、税制優遇の面で非常に優れているのですが、今までは限られた人しか利用することができませんでした。しかし、2017年1月より、ごく一部の人を除き誰でも加入できるようになります。そこで、今回はこの制度についてふれさせて頂きます。
1.加入対象者
平成29年3月31日までは、制度が存続しているものの下記のとおり優遇措置の内容が変わっております。
現在の加入対象者は、自営業などの国民年金第1号被保険者と、会社員などの第2号被保険者で、勤務先に企業年金制度がなく、企業型確定拠出年金も導入されていない企業の従業員の方です。
これが、5月24日の衆議院本会議で「確定拠出年金法等の一部を改正する法律案」が可決されたことにより、2017年1月1日より、専業主婦や公務員そして一部のサラリーマンも個人型確定拠出年金に加入することが出来る様になります。税額控除は各割合が1%減少したにとどまっていますが、特別償却は割合が大幅に下がっています。
2.個人型確定拠出年金のメリット
①積立時「全額所得控除」の対象
毎月拠出する掛金は、全額所得控除の対象となり課税されません。所得税額は、給与所
得者であればその年の収入金額から給与所得控除額を差引き、そこから各種所得控除額を
差し引いた額(課税所得金額)に税率を乗じて求めます。そのため、当制度による掛金拠出
額だけ課税所得金額が減り、税額が安くなります。
②運用時「運用益非課税」の対象
これについてはNISAも同様ですが、NISAは株式や投資信託などの投資性商品しか適用
されません。また、非課税期間も限られています。それに対し、当制度は投資信託のような価
格変動のあるものだけでなく、定期預金のような元本確保型金融商品も利用でき、運用期
間中は全額非課税となりますので、そのまま次の運用資金として活用できます。
③受取時「公的年金等控除」「退職所得控除」の対象
年金として受け取る場合には、雑所得(公的年金等)となり税金はかかりますが、公的年金
等控除が適用されるため一定の金額が課税所得から除かれます。また、一時金として受け
取る場合にも、退職所得として課税されますが、退職所得控除が適用されるため、税額は少
なくなります。
3.個人型確定拠出年金のデメリット・注意点
年金ですので、60歳になるまでは原則引出せません。また、運用は自分で行い、損失が出ても自分で被らなければなりません。そのため、価格変動リスクのあるものに投資している場合、掛金の総額よりも受取金額が少なくなる可能性もあります。