2015/03/10
税務通信3月号
マイナンバー制度
平成28年1月1日から、マイナンバー(社会保障・税番号)制度がはじまります。特に従業員を雇用している事業者は、税金や社会保険の手続き上、従業員から個人番号の提供を受けなければならず、実務上の対応が求められます。今回は事業者が行う対応について、いくつかポイントをお伝えします。
1.制度の概要
マイナンバー制度は、行政の効率化、国民の利便性の向上、公平・公正な社会実現のための社会基盤として創設されました。
個人は住民票登録者に対して1人1つ12桁の番号(個人番号、以下「マイナンバー」)が、法人は13桁の法人番号が付与されます。平成27年10月から順次、個人は住民票登録住所へ、法人は登記されている本社住所へ通知され、28年1月から利用開始されます。
現状予定されているマイナンバーの利用分野は、社会保障・税・災害対策の3分野ですが、そのうち事業者が行う対応は、社会保障と税の2分野となっています。
出典:内閣官房資料
2.作成書類へのマイナンバーの記載
事業者は自身の確定申告や届出の他、従業員の給与所得の源泉徴収票や支払調書の作成などの税務関係、健康保険・厚生年金・雇用保険の被保険者資格取得届の作成などの労務関係の書類作成の際に、マイナンバーや法人番号を記載します。マイナンバー等の記載開始時期は、基本的には平成28年分からとなります。(法人税の申告書は、平成28年1月1日以後開始事業年度に係る申告から)
そのため、マイナンバー等を記載する必要のある書類を作成する場合には、該当者のマイナンバー等を取得しなければなりません。ただし、住民票の登録がない非居住者は、マイナンバーは付与されないため、これらの書類を作成する必要があってもマイナンバーを取得する必要はありません。
3.利用目的の通知等と本人確認
①利用目的の通知等
マイナンバーを取得するときは、マイナンバーをどういったことに利用するのかをマイナンバーの提供者側(従業員等)へ通知等しなければなりません。この場合の通知等の方法としては、利用目的を記載した書類の提示や就業規則への明記、社内LANを利用した通知等が考えられます。また、番号法に定められた利用目的以外にはマイナンバーを利用できず、かつ通知等された範囲内で利用することになります。そのため、複数の利用目的でマイナンバーを取得する場合には、まとめて利用目的を通知等するとよいでしょう。
②本人確認
マイナンバーを取得するときは、本人確認をします。本人確認とは、番号の確認(正しい番号かの確認)と身元確認(持ち主=番号付与者かの確認)をいい、誤りやなりすまし防止のために行います。ただし、すでに雇用関係がある等明らかに本人であると判断できるときは、身元確認は省略できます。