2015/12/10
税務通信12月号
平成28年以降の所得税の改正について
平成27年度税制改正において、所得税の改正が行われています。そこで、今回は平成28年1月1日以降に変更がある改正のうち、重要なものについて触れたいと思います。
<財産債務明細書の見直し>
※平成27年度分の確定申告より適用
所得金額が2,000万円を超える方が確定申告書に添付することが義務付けられていた財産 債務明細書が『財産債務調書』に変更され、その中身も変更されています。
①対象者の変更
これまでの「その年分の所得金額が 2,000 万円超であること」に加え、保有財産額の要件が追加され対象者が限定されています。
②記載内容の詳細化
これまでよりも詳細な財産債務の記載が必要となります。
③罰則規定の設立
財産債務調書は、提出しなかっただけでの罰則はありませんが、記載すべき財産等に関して記載がない場合に、その財産等に関して所得税の申告もれが生じた場合には、ペナルティとしての過少申告加算税が5%加重されます。
また、逆に財産債務調書を提出期限内に提出した場合には、財産債務調書に記載がある財産等に関して所得税・相続税の申告漏れが生じたときであっても、過少申告加算税等が5%軽減されます。
また、財産債務調書自体に質問検査権が認められていますので、税務署は必要に応じて質問・検査・提示要求・留置をすることができます。そのため、税務署からの質問に答えない、検査を拒否または妨害するなどの行為や、税務署からの提示要求に対して正当な理由のない拒否をする等については、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処される罰則規定が設けられています。
<国外居住親族に係る扶養控除等の書類の添付義務化>
※平成28年1月1日より適用
平成 28 年1月1日以後に支払うべき給与等及び公的年金等から、国外居住親族に係る扶養控除、配偶者控除、障害者控除又は配偶者特別控除の適用を受ける居住者は、給与等又は公的年金等の支払者に「給与所得者の 扶養控除等(異動)申告書」などの申告書を提出する際に、その国外居住親族に係る「親族関係書類」や「送金関係書類」を提出又は提示しなければならないこととされました。
<NISAの拡充>
※平成28年1月1日より適用
①NISAの拡充
各年分の非課税管理勘定に受け入れることができる上場株式等の取得対価の額の限度額が120万円(改正前:100万円)に引き上げられました。
②ジュニアNISAの創設
20歳未満の居住者等を対象として、平成28年から平成35年までの間に、年間80万円を上限として未成年者口座で取得した上場株式等の配当等やその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡益が、非課税管理勘定が設けられた日の属する年の1月1日から最長5年間非課税となる制度が創設されました。