2016/10/11
税務通信10月号
平成28年分の年末調整
今年も残すところ3ヶ月弱となり、年末調整の時期が近付いてきております。年末調整とはサラリ
ーマンを始めとした給与所得者に対して、給与から天引きするかたちで、概算金額により納めて
いた所得税を精算する手続きです。さて、その年末調整が今年分(平成28年分)から少し変わり
ます。変更点を押さえておきましょう。
1.マイナンバーの記載
昨年の事務所通信でもご説明させていただいたとおり、平成28年からマイナンバー制度が本
格導入されました。年末調整に必要な資料のうち、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の
みにマイナンバーの記載が必要になります。
特に注意したいポイントは、この「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」には、本人だけで
はなく、扶養家族のマイナンバーも記入が必要ということです。従業員の年末調整を行う際には、
ルールに沿ってマイナンバーを収集することを忘れないようにしましょう。
上記以外には、税務署に提出する「源泉徴収票」にもマイナンバーの記載が必要です。
従業員に渡す「源泉徴収票」には、マイナンバーを記載しないので注意しましょう。
2.「非居住者」に関する記入欄が追加
また、平成28年分から、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」には、扶養親族が非居住
者の場合、新たに記入する項目欄が追加され、関係書類の添付が必要となります。非居住者とは
「国内に住所を持たず、かつ、現在まで1年以上国内に居所がない個人」のことです。
扶養親族に該当する人がいれば、「非居住者である親族」の欄に「○」をつけて、海外の住所
を記入します。さらに下記のいずれかの「親族関係書類」を添付しなければなりません。
◆ 「戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及びその親族の旅券
(パスポート)の写し」
◆ 「外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類(その親族の氏名、生年月日及び
住所又は居所の記載があるものに限る)」
上記の資料と合わせて、送金関係書類も必要です。外国送金依頼書の控え、もしくは、家族カ
ード(クレジットカード)の利用明細書の控えなどを用意して、提出しましょう。
3.通勤手当の非課税限度額
平成28年分からの変更点として、交通機関もしくは有料道路を利用している人に支給する通
勤手当について、非課税の限度額が10万円から15万円に引き上げられています。
改正後の非課税規定は、平成28年1月1日以後に支払われるべき通勤手当について適用さ
れますが、改正が行われたのは平成28年4月です。すでに源泉徴収されている金額で、納め過
ぎてしまっているケースがあるかもしれません。
その場合には、年末調整で精算されますので、該当の方がいる場合は、再度ご確認下さい。