2015/01/10
税務通信1月号
平成27年度税制改正大綱
昨年の12月30日、2015年度の与党税制改正大綱が決定しました。
経済成長を重視し、安倍首相の経済政策「アベノミクス」の柱となる法人税の実効税率引き下げを打ち出したのが特徴です。
そこで、今回は、平成27年度税制改正大綱のポイントについてお伝えします。
1.企業
①法人実効税率の引き下げ
16年度までの2年間で法人実効税率を、現行の34.62%(標準税率)から3.29%引き下げます。減税幅は15年度に2.51%、16年度は0.78%となります。
②外形標準課税の拡充
赤字企業にも課税する外形標準課税に関して、法人事業税に占める割合が15年度から2年で2倍に広がります。対象は資本金1億円超の大企業で、資本金1億円未満の中小企業への適用拡大は、今回見送られることになりました。
③欠損金の繰越控除縮小
大法人の欠損金の繰越控除制度の所得制限が現行の80%から15年度65%、16年度50%と引き下げられます。
また、17年度以後、繰越期間が現行の9年から10年に延長されます。
④地方移転企業の税優遇
地方企業の雇用の場を確保し人材を定着させるために、企業が本社機能を地方に移転したり、地方において本社機能を拡充する取り組みを支援するための「地方拠点強化税制」が創設されます。
2.家計・暮らし
①贈与税の非課税制度拡充
・結婚、出産、育児費用【新設】
祖父母や両親が、子や孫に資金をまとめて贈与する場合、15年4月から一人当たり1,000万円までの贈与税が非課税となります。
・住宅取得資金【拡大】
現行1,000万円の非課税枠が、15年1月より1,500万円に拡充されます。また16年10月から17年9月までの期間は、非課税枠が最大3,000万円に拡充されます。
・教育資金【延長】
15年末で終了予定だった教育費の一括贈与(非課税枠1,500万円)が19年3月末まで延長されます。
②少額投資非課税制度(NISA)の拡充
親や祖父母が子供、孫の名義の口座で投資する「子供版NISA」が平成28年から新設されます。現行のNISAは20歳以上が対象ですが、子供版NISAは名義人の対象年齢を0~19歳とし、年80万円までの投資が非課税になります。
また、通常の非課税枠(年間100万円まで)も120万円に拡充されます。
③エコカー減税
購入時に納める自動車取得税と、車検時などに支払う自動車重量税の「エコカー減税」が平成28年度まで2年延長されますが、適用条件は27年度燃費基準から、より厳しい32年度燃費基準となります。
また、軽自動車税にも「エコカー減税」が導入され、燃費性能に応じ25%、50%、75%の3段階で減税されます。
④住宅ローン減税
住宅ローン減税の適用期限が、17年12月末から19年6月末に延長されます。