2014/11/10
税務通信11月号
文書の保存期間
文書の保存につきましては、年数が経つにつれ、保管場所等の兼ね合いもあり、非常に悩まれるところかと思います。実際に、何年保管すればいいかという事務所への問い合わせも少なくありません。
そこで、今回は、文書の保存期間とその方法について、お伝えしたいと思います。
1.保存期間
※平成23年12月税制改正により青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間が9年とされたことに伴い、平成20年4月1日以後に終了した欠損金の生じた事業年度においては、帳簿書類の保存期間が9年間に延長されました。
定款や登記関係書類は会社法において保存期間の定めはありませんし、税務申告書や税務届出書などについても、税法上の保存期間の定めはありません。しかし、文書の性格上、永久保存が必要と考えられます。
2.保存方法
(1)原則的な保存方法
帳簿書類の保存方法は、紙による保存が原則となります。
したがって、電子計算機で作成した帳簿書類についても、原則として電子計算機からアウトプットした紙により保存する必要があります。
(2)電磁的記録による保存方法
自己が電磁的記録により最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する
帳簿書類で一定の要件を満たすものは、紙による保存によらず、サーバ・DVD・CD等に記録した電磁的記録(電子データ)のままで保存することができます。
なお、電磁的記録による保存を行う場合には、あらかじめ所轄税務署長に対して申請書を提出し、承認を受けることが必要です。また、この申請書は、備付けを開始する日の3月前の日までに提出する必要があります。
このほかにも、マイクロフィルムによる保存や、スキャナ読取りの電磁的記録による保存も、要件を満たせば可能です。
また、現行では、「国税関係書類の電磁的記録によるスキャナー保存の承認申請書」を管轄の税務署長に提出すれば、3万円以下の契約書や領収書等をスキャナーで読み取って画像データを保存し原本を捨てることができますが、2015年に向けて3万円以上のものについても財務省令を改正し、スキャナー保存できるよう緩和していく方針とのことです。