2014/09/10
事務所通信9月号
所得拡大促進税制について
平成25年度税制改正において、所得拡大促進税制が創設されました。
しかし、制度の認知度は45%と低く、また、平成26年度の税制改正において、適用要件も複雑になっておりますので、今回はその制度について触れたいと思います。
制度の概要
平成25年4月1日から平成30年3月31日までの期間内に開始する各事業年度において、青色申告法人が国内雇用者に対して支給した給与等について、下記の要件を満たす場合には、雇用者給与等支給増加額の10%の税額控除ができる制度です。
ただし、当期の法人税額の10%(中小企業等については20%)相当額を限度とします。
≪要件≫
① 給与等支給額が基準事業年度の給与等支給額と比較して一定割合(適用年度ごとに異なる)以上増加してい
ること
② 給与等支給額が前事業年度の給与等支給額を下回らないこと
③ 平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を超えていること
※基準事業年度とは、平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の直前の
事業年度をいいます。(ex:3月決算法人であれば、平成25年3月期)
≪国内雇用者≫
法人の使用人のうち法人の有する国内の事業所に勤務する雇用者をいいます。
また、法人の国内に所在する事業所につき作成された賃金台帳に記載された者とされている点に留意する必要が
あります。
(当該法人の役員と特殊の関係のある者および当該法人の使用人としての職務を有する役員を除きます。)
≪給与等支給額≫
国内雇用者に対して支給する俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与の額で、当該
適用事業年度において損金算入される金額をいいます。
また、給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除する必要があります。
≪平均給与等支給額≫
改正前までは、国内雇用者に対する給与等の平均額でしたが、平成26年度の税制改正により、継続雇用者に対
する給与等の平均額となっております。
≪継続雇用者に対する給与等≫
適用年度およびその前年度において給与等の支給を受けた国内雇用者に対する給与等のうち、雇用保険法の一
般被保険者に対する給与等をいいます。ただし、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の継続雇用制度に
基づき雇用される者に対する給与等を除きます。
適用年度に新規で採用したものや、前事業年度で退職したものに対して支払った給与等については、平均給与
等支給額を比較の上で計算には入れないことになります。
制度のイメージ図