2013/09/10
事務所通信9月号
雇用促進税制と所得拡大促進税制について
平成25年度税制改正において、従前の雇用促進税制の拡充、所得拡大促進税制の創設がなされました。雇用の確保・所得水準の改善という制度になっていることから、今回はそれぞれの制度の概要や注意点を確認したいと思います。
1.雇用促進税制の拡充
平成23年4月より施行された雇用促進税制ですが、改正に伴って控除額と適用範囲が拡充されました。平成25年4月1日~平成26年3月31日までに開始する事業年度において、下記の要件を満たす場合には40万円(改正前は20万円)に基準雇用者数を乗じて計算した金額を特別税額控除できます。ただし、当期の法人税額の10%(中小企業者等については20%)相当額を限度とします。
<要件>
(1)前期及び当期に事業主都合による離職をした雇用者および高年齢雇用がいないこと。
(2)基準雇用者(当期末の雇用者数から適用事業年度開始の日の前日の雇用者数を引いた数)が5人以上(中小企業者等については2人以上)であること。
(3)基準雇用者割合(基準雇用者数を適用事業年度開始の日の前日の雇用者の数で除した数)が10%以上であること。
(4)給与等支給額が比較給与等支給額(前期の給与等の支給額+(前期の給与等の支給額×基準雇用者割合×30%))以上であること。
(5)雇用保険法第5条第1項に規定する適用事業を行っていること。
(6)適用年度に青色申告書を提出している法人又は個人事業主であること。
本制度の適用を受けるためには、公共職業安定所(ハローワーク)に雇用促進計画書を適用年度開始後2ヶ月以内に提出しなければなりません。提出の際に交付される雇用促進計画の達成状況を確認した旨の書類の写しと、控除を受ける金額の申告の記載およびその金額の計算に関する明細書を、申告の際に確定申告書等に添付する必要があります。
2.所得拡大促進税制
平成25年4月1日から平成28年3月31日までの期間内に開始する各事業年度において、国内雇用者に対して給与等を支給し、以下の要件を満たした場合、雇用者給与等支給増加額の10%の税額控除ができる制度です。ただし、当期の法人税額の10%(中小企業等については20%)相当額を限度とします。
<要件>
(1)給与等支給額が基準事業年度の給与等支給額と比較して5%以上増加していること。
(2)給与等支給額が前事業年度の給与等支給額を下回らないこと。
(3)平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を下回らないこと。
本制度の利用に際し、税務申告より前に特段の手続きを行う必要はありません。ただし、本制度の適用を受けるためには、申告の際に、確定申告書等に、税額控除の対象となる雇用者給与等支給増加額、控除を受ける金額及びその金額の計算に関する明細書を添付する必要があります。
3.注意点
雇用促進税制と所得拡大促進税制は選択適用となっており、併用することはできません。そのため、あらかじめどちらの制度を利用するか判断できない場合には、雇用促進計画を公共職業安定所(ハローワーク)に提出した上で、申告の際にどちらを利用するか判断する事になります。
※詳しくは以下のホームページをご参照ください。
雇用促進税制について(管轄は厚生労働省になります)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudouseisaku/koyousokushinzei.html
所得拡大促進税制について(管轄は経済産業省になります)
http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/syotokukakudaisokushin/syotokukakudai.htm