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2013/07/10

事務所通信7月号

事務所通信

 

交際費の改正点と注意点

  

 平成25年度の税制改正の中で、法人税法の交際費が800万円まで全額損金になるという改正がありました。交際費という馴染みのあることですのでご存知の方も多いと思います。今回は交際費の改正点と注意点について触れたいと思います。

 

 

1.概要

 

 

 改正前は、資本金1億円を超える大法人は交際費の全額が損金不算入、資本金1億円以下の中小法人が支出した交際費については年600万円を超える金額が損金不算入、600万円までの金額はその金額の10%が損金不算入となっていました。改正後は、資本金1億円を超える大法人は従来通り全額が損金不算入、資本金1億円以下の中小法人は年800万円を超える金額は全額損金不算入、800万円までの金額はその全額が損金算入となります。

 

 

2.適用時期

 

 

 平成25年4月1日から平成26年3月31日までに開始する事業年度分の法人税について適用されます。

 例えば、3月決算法人は平成25年4月からこの制度が適用されますが、平成26年2月決算法人までは、今までどおりの制度が適用されますので注意が必要です。

 ただ、1年間の時限措置とされているため、平成26年4月からの事業年度はこの制度がどうなるかは今のところ未定です。今後の経済状況等に応じて延長されるかどうかにも注目が集まっています。

 

 

3.税務調査において

 

 

 これまでの税務調査では、「その支出が交際費なのか、交際費ではないのか」が問題視されていましたが、今後は個人事業者でも法人でも、焦点は「事業に必要な経費なのか、私的な費用か」ということになると思われます。

 例えば、会社の交際費の中に経営者の家族のみでの私的な食事代が入っていたとします。本来、自身で負担しなければならなかった飲食代を会社に立て替えてもらったということで、この支出については役員給与(賞与)とされ、当然ながら経費とは認められません。

 給与(賞与)は源泉徴収しなければならないのですが、この処理も行われていません。さらに、この飲食代については、消費税の計算上仕入税額控除していると思いますが、役員給与(賞与)とされれば仕入税額控除はできません。

 つまり、法人税・源泉所得税・消費税の追加納付となります。

 

 交際費等に該当するかどうかの判断基準は国税庁からいくつかの資料が出されておりますが、実際に支払った費用が交際費等の範囲に含まれるかどうかはケースバイケースです。会議費や福利厚生費、雑費、寄付金など他の科目の中に交際費に該当するものが含まれていないかの確認が必要になります。

 また、交際費等の範囲で要件に気をつけたいものが1人あたり5000円以下の飲食などに要する費用です。この分に関しては税務上の交際費等から除かれるため全額損金算入することができますが、①飲食費に限定されること、②社外の人を含まずに社内の人だけでの飲食は対象外であること、③飲食の日付、取引先等の氏名又は名称とその関係、参加人数、飲食金額、飲食店の名称と所在地などを記載した書類の保存が要件となりますので注意が必要です。

 

 この改正を機会に何でも交際費で処理できるわけではないことを改めて理解し、事業に関係のない、例えば役員の個人的な交際費など、公私混同をしない経営姿勢がこれまで以上に求められると思います。

 

 

 

 

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