2013/05/10
事務所通信5月号
教育資金の一括贈与にかかる贈与税非課税措置について
先月の事務所通信でもお伝えしたように、平成25年4月から、教育資金の一括贈与にかかる贈与税を非課税とする措置が創設されました。高齢者世代の保有する資産を若い世代へ移転させ、教育費の確保に苦心する子育て世代を支援し、経済を活性化することが制度創設の背景にあります。そこで、今回はこの制度について取り上げたいと思います。
1.制度の概要
・祖父母(贈与者)は、子・孫(受贈者)名義の金融機関の口座等を開設し、教育資金を一括して拠出。この資金について、子・孫ごとに1,500万円までが非課税。
・祖父母からだけではなく、直系尊属(曾祖父母、祖父母、父母等)からの贈与が対象。
(→受贈者の配偶者の直系尊属は含まれず。)
・口座開設に先立って、贈与者と受贈者との間で書面により贈与契約の締結が必要。
・開設可能な口座は受贈者一人につき1口座のみ。
(→開設した金融機関の他の支店や別の金融機関での口座の開設は不可能。)
・学校等以外のもの(学習塾、習い事等)に支払われるものについては、1,500万円の枠の中で500万円が限度。
・教育資金の使途は、金融機関が領収書等をチェックし、書類を保管。
・孫等が30歳に達する日に口座等は終了。その時点で使い残しがあれば、この残金に贈与税を課税。
・平成25年4月1日から平成27年12月31日の間に行われる贈与が対象。
・外国に所在する金融機関(日本の金融機関の海外支店も含む)では取り扱いはなし。
2.教育資金とは? 学校等とは?
教育資金は、学校等に対して支払われる金銭と、学校等以外に対して支払われる金銭とに分かれます。
①学校等に対して直接支払われる金銭
・入学金、授業料、入園料、保育料、入学(園)試験の検定料など
・学用品費、修学旅行費、学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など
②学校等以外に対して直接支払われる金銭で社会通念上相当と認められるもの
・教育(学習塾、そろばんなど)に関する指導料や施設の使用料など
・スポーツ(水泳、野球など)または文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)
その他教養の向上のための活動に係る指導料など
・上記の指導で使用する物品の購入に要する金銭
(ただし、指導を行う者を通じて購入するもの(=指導を行う者の名で領収書が出るもの)に限る。)
また、学校等には以下のものが含まれます。
・学校教育法上の幼稚園、小・中学校、高等学校、大学(院)、専修学校、各種学校
・保育所、認定こども園
・外国の教育施設
[外国にあるもの]その国の学校教育制度に位置づけられている学校、日本人学校、私
立在外教育施設
[国内にあるもの]インターナショナルスクール、外国人学校、外国大学の日本校など