2013/12/10
事務所通信12月号
給与所得者の特定支出控除について
サラリーマン(給与所得者)にも、所得を計算するうえで必要経費を控除できるという制度があります。平成24年度税制改正でこの「特定支出控除」という制度が以前より使い勝手がいいように見直されております。適用が平成25年分以降の所得税申告からですので、今回はこの制度についてご説明したいと思います。
1.特定支出控除とは
給与所得者の特定支出控除とは、給与所得者であっても1年間に使った「特定の支出」の金額が、「給与所得控除額の半分」を超えれば、その超えた金額を所得控除として認め、結果として所得税額が低くなる、という制度です。
ちなみに、給与所得控除とは、自営業者でいう必要経費のようなもので、給与所得者が領収書などを集めて確定申告をしなくてもいいのは、年末調整で年収に応じて給与所得控除額が自動的に計算されて控除されているからなのです。
この特定支出控除の制度自体は以前からあるものですが、昨年までと比べてどこが変わったのか、どう使いやすくなったのかを後述します。
2.改正のポイント
平成25年からの特定支出控除に関して、以下の2点が改正されました。
(1) 特定の支出の範囲が拡大されたこと
上記の費用で、勤務先が負担したものは当然ながら除かれます。仕事に関係する費用であれば何でも良いというわけではないことに注意が必要です。
(2)給与所得控除額の半分を超えればよくなったこと
給与所得控除額の半分がどれくらいなのかは以下のとおりです。
平成24年までは上記の給与所得控除額の2倍の額を超えなければ特定支出控除を受けられなかったことを考えると、使い勝手が良くなっていることが分かります。年収が少ない人ほど節税の可能性があります。
3.確定申告が必要
特定支出控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。その際に、明細書や書類を提出しなくてはなりませんが、忘れてはいけないのが「給与の支払者の証明書」です。支払ったことを証明する領収書の保存は当然のことながら必要ですし、会社からの証明がもらえない場合は、そもそもこの特定支出控除としての申告ができないということになります。
※給与所得者の特定支出控除に関する証明書の様式(国税庁のHPです)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/shotoku/shinkoku/871222/01.pdf