2012/12/10
事務所通信12月号
インターネットで取引を行った場合の仕入税額控除
最近では、インターネットを使って商品の発注や受注をすることも多くなってきています。その場合には、取引先から請求書などを受け取ることができないときが増えてきています。
そこで、今回は消費税の計算上、請求書などを受け取っていなくても仕入税額控除の適用が受けられるのかどうかについて触れたいと思います。
そもそも、消費税の基本的な計算方法は、売上に対する消費税から仕入れ等に対する消費税を控除し、残った差額が納税額となります。
支払った消費税を控除できることを「仕入税額控除」といいます。仕入と書いてありますが、実際には仕入・経費・固定資産の取得などを含みますので、意味としては「購入」や「支払」に近いと思います。
消費税の課税事業者が仕入れ等の消費税を控除するためには、「課税仕入れ等の事実の帳簿への記載、保存及び課税仕入れ等の事実を証する請求書等の保存」をしなければなりません。この場合の請求書等とは次の通りです。
事業者に対して課税資産の譲渡等を行う他の事業者が、当該課税資産の譲渡等につき当該事業者に交付する請求書、納品書その他これらに類する書類で、
①書類の作成者の氏名又は名称
②課税資産の譲渡等を行った年月日
③課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
④課税資産の譲渡等の対価の額
⑤書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称
が記載されているものとされています。
また、請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由があるときは、そのやむを得ない理由及び課税仕入れの相手方の住所又は所在地を帳簿に記載して保存することにより、仕入税額控除の適用を受けることができます。
インターネットを通じて取引を行った場合には、請求書等に記載されるべき上記の事項が通信回線を介してコンピューター間で電子データとして交換されるために、請求書等そのものが作成・交付されないこととなり、電子データ以外の保存が行えない状況となりますが、これは、請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由がある場合に該当するものと考えられます。
したがって、インターネットを通じて取引を行った場合には、帳簿に記載すべき事項に加えて、インターネットを通じた取引であること及び課税仕入れの相手方の住所又は所在地を記載して保存する場合に限り、仕入税額控除の適用を受けることができます。