2024/05/15
事務所通信5月号
賃上げ促進税制の強化
賃上げ促進税制とは、企業者等が賃上げを実施した場合に、賃上げ額の一部を法人税などから税額控除できる制度です。令和6年度税制改正により、最大税額控除率が、大企業・中堅企業は35%、中小企業は45%にアップしました(改正前は大企業・中堅企業は30%、中小企業は40%)。今回は賃上げ促進税制の主な改正点についてお話しします。
1.適用期限を3年延長
賃上げ促進税制の適用期限を従来の2年間から3年間に延長[令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度(個人事業主は令和7年から令和9年までの各年)が対象]
2.中堅企業を対象に、新たに賃上げ促進税制の枠を創設
青色申告書を提出する法人で常時使用する従業員の数が2,000人以下であるものを対象とする制度が創設されました。
3.適用要件の見直し
〈全企業向け〉
・現行の賃上げ要件の税額控除率の引き下げ(3%賃上げで控除率15%から10%、4%賃上げで控除率25%から15%に引き下げ)
・さらに高い賃上げ要件を創設(5%賃上げ、7%賃上げ)
〈全企業向け・中小企業向け〉
・教育訓練費の上乗せ要件の緩和
・仕事と子育ての両立支援等に取り組む企業(「プラチナくるみん認定」又は「プラチナえるぼし認定」)に5%の上乗せ措置を創設
〈出典:経済産業省公式サイト〉
4.中小企業向けに5年間の繰越控除制度が創設
中小企業は、要件を満たす賃上げを実施した年度に控除しきれなかった金額の5年間の繰越しが可能となりました。この制度により、赤字企業でも賃上げ促進税制が活用できるようになります。