2021/10/11
事務所通信10月号
今回は、令和3年分の年末調整時に提出する書類の変更点・留意点についてお話しさせていただきます。
1.押印義務の見直し
これまで年末調整の申告書には押印欄が設けられており、書面で提出する際は提出者の押印が必要でしたが、令和3年4月1日以後提出分から押印が不要となりました。
例えば扶養控除等(異動)申告書などの書類の、従来印字されていた「あなたの氏名」の欄の「㊞」が令和3年分の様式から削除されています。
2.年末調整の申告書を電子データ等で提出する場合の税務署長の承認廃止
年末調整の申告書を従業員から電子データで受領する場合、これまでは事前に税務署へ「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出し税務署長の承認を受ける必要がありました。
改正により、令和3年4月1日以降に電子データで年末調整の申告書を受領する場合は、上記の事前承認が不要となりました。
ただし、別途必要な措置(従業員から電子データの提供を受けるための方法を定めておく等)がありますのでご留意ください。
※国税庁は10月1日に「年調ソフトV2.0」を公開しました。
年調ソフトは勤務先に提出する年末調整関係の書類を従業員が手軽に作成できるようにしたアプリです。質問に答えて控除証明書等のデータを入力すると提出のための電子データ等が作成できます。
3.年末調整の申告書作成の留意点
令和3年からの変更ではありませんが、令和2年分から提出が必要となったものについて説明します。
(1)所得金額調整控除申告書 ※(基・配・所)と右上に記載してある書類の左下にあります。
次のいずれかの要件に該当する給与年収850万円を超える人が所得金額調整控除を適用する際に提出(記入)します。
①本人、同一生計配偶者、扶養親族のいずれかが特別障害者に該当
②年齢23歳未満の扶養親族を有する
(2)給与所得者の基礎控除申告書 ※(基・配・所)と右上に記載してある書類の左側にあります。
その年の合計所得金額が2,500万円以下の人が基礎控除を適用する際に提出します。
(例)給与所得のみの場合
①(1)の収入金額欄に収入金額を記入
②裏面の給与所得の金額の計算方法の表に
金額をあてはめて算出した所得金額を
(1)の所得金額欄に記入
③②で算出した所得金額を控除額の計算の判定
の欄にあてはめてチェックをつける
④③で出た区分(ABC)を区分の欄に記入
⑤基礎控除の金額を判定の表をもとに記入