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2017/07/10

事務所通信7月号

事務所通信

 

 

 

非上場株式の株式評価の見直しについて

 

 

 株式を相続又は贈与など(以下、相続等)をした場合、税金を計算する際の当該株式の価額は “時価”です。取引相場のない株式における時価とは、財産評価基本通達に定められている方法により評価したものです。この評価方法が平成29年1月1日以後の相続等から改正されました。改正は大きく次の2点です。

 

 

 

1. 「類似業種比準方式」の見直し

  

 

 取引相場のない株式の評価は、当該株式の取得者が少数株主である場合など一部を除いて、基本的には会社の規模に応じ、「類似業種比準方式」「純資産価額方式(*)」という評価方式に基づき評価を行います。今回は、「類似業種比準方式」について見直しが行われました。

 「類似業種比準方式」とは、評価する会社と同様の事業を行う上場会社(類似業種)の株価を基本に、1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額の3つの要素を用いて、その評価会社株価を計算します。

 その配当金額、利益金額、純資産価額の比重が、改正前の1:3:1から1:1:1に変更されました。これにより、改正後は節税策による利益圧縮効果が今までより見込まれない一方、相対的に純資産価額の比重が大きくなりますので、現在は利益が出ていない会社でも、過年度からの利益の蓄積が大きい会社は株式の評価額が大きくなります。なお、この改正に伴い、株式保有特定会社や医療法人の評価も同様の改正がなされています。

 また、その他にも2点ほど細かい論点の見直しが行われておりますが、今回はスペースの都合上、省略させていただきます。

 

   


  

2. 会社規模区分の見直し

 

 

 取引相場のない株式の評価においては、その評価会社の規模に応じて「大会社」、「中会社」、「小会社」に区分され、それぞれ採用できる評価方法が定められています。その会社規模の区分について、それぞれの要件が見直されています。改正前後の比較は下記の通りです。

 

 

  

 原則として、「大会社」は「類似業種比準方式」、「小会社」は「純資産価額方式」、そして「中会社」は大会社と小会社の評価方法を併用して評価します。一般的に業績の良い会社については、「純資産価額方式」を基に評価した金額よりも「類似業種比準方式」を基にした評価のほうが低くなる傾向にあるため、今回の改正で、「中会社」や「大会社」の範囲が拡大することにより、株式の評価が下がる可能性があります。

 

 

 

*評価会社の資産と負債の帳簿価額と相続税評価額をもとに評価する方式です。

 

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