2017/04/10
事務所通信4月号
配偶者控除・配偶者特別控除の見直し
平成29年度の税制改正法が3月27日、参院本会議で与党などの賛成多数で可決・成立しました。そこで今回は、その中から、影響のある方が最も多いであろう配偶者控除等の見直しについて記載させていただきます。(適用は平成30年以後です。)
1. 納税者本人の受ける控除額
中所得控除額38万円の対象となる配偶者の給与収入の上限額を150万円に引き上げます。
(現行では、配偶者の給与収入の上限額は103万円です。)
2. 納税者本人の所得制限
現行法では、配偶者特別控除において一定の所得制限が設けられているのに対し、配偶者控除においては、所得制限が設けられていませんでした。
今回の改正では、配偶者特別控除における所得制限を細分化したうえで、配偶者控除においては、所得制限が設けられることになりました。具体的には、給与収入(合計所得金額)が1,120万円(900万円)を超える場合には以下の表のとおり控除額が逓減・消失する仕組みになっています。
3. 今回の改正に伴う納税額への影響
1、2で見ていただいたとおり、今回の改正においては、配偶者特別控除を受けるための配偶者の給与収入の上限額が引き上げられたことにより、控除対象者が拡大した半面、配偶者控除の所得制限により、一部の方は、控除額が縮小する結果となっています。
下記は、改正前と比較したときの改正後の納税額の影響です。
・ 配偶者の給与収入が150万円超201万円以下(合計所得金額85万円超123万円以下)で、納税
者本人の給与収入が1,220万円以下(合計所得金額1,000万円以下)の方は減税。
・ 配偶者の給与収入が103万円以下(合計所得金額38万円以下)で、納税者本人の給与収入が
1,120万円超(合計所得金額900万円超)の方は増税。
・ 配偶者の給与収入が103万円超150万円以下(合計所得金額38万円超85万円以下)の場合
→納税者本人の給与収入が1,120万円以下(合計所得金額900万円以下)であれば、基本的
には減税。
→納税者本人の給与収入が1,120万円超1,220万円以下(合計所得金額900万円超1,000万
円以下)のときは、配偶者の給与収入により影響が異なる。