2017/11/10
事務所通信11月号
医療費控除について
今年も残すところわずかとなり、年末調整や確定申告の時期が近づいています。本年分から医療費控除については、従来の医療費控除との選択適用で、「セルフメディケーション税制」が適用できることとなりました。いずれか一方の適用しかできませんので、どちらを適用するか検討する必要があります。
1. セルフメディケーション税制の概要
(1)適用対象者
健診受診率の向上や薬局等からの医薬品購入による、医療費の抑制を目的として創設さ
れました。そのため適用を受けるためには、その年分に「一定の取組」を行う必要がありま
す。
具体的には、次のいずれかを申告者本人が受けなければなりません。また、領収書の原
本を添付する必要があります。
① 健康診査 ② 定期予防接種 又は インフルエンザの予防接種 ③ 健康診断
④ 特定健康診査 又は 特定保健指導 ⑤ がん検診
(2)対象医薬品
一定のスイッチOTC医薬品に限定されています。
対象品目については、領収書(レシート)に明記されています。
(3)控除額
1月1日から12月31日までの購入金額の合計額のうち12,000円を超える部分の金額(上限
88,000円)です。
申告者本人分だけでなく、生計を一にする配偶者その他の親族分も含めることが可能で
す。
2. 従来の医療費控除
(1)平成29年分からの改正内容
① 明細書の作成及び添付
確定申告の際、明細書の作成及び添付が必要となりました。この明細書には次の②と
③に分けて記入します。
② 「医療費の通知」による適用
保険者から送付される“医療費のお知らせ”など、これまで証明書類として認められ
なかった「医療費の通知」について、明細書に記入するとともに確定申告書に添付するこ
とで、認められることになりました。ここに記入した医療費に係る領収書の添付及び自己
保管は不要です。
③ ②以外の医療費とその領収書
上記②以外の医療費は、明細書に記入することで領収書の添付は不要となりました。
ただし、この領収書はセルフメディケーション税制と同様、5年間の自己保管が必要です。
(2)対象医薬費
下記のような、診療や治療のために支払った対価です。
・病院で保険証を用いて支払った診療代 ・ドラッグストアで購入した風邪薬等の医薬品
・産婦人科の病院等に支払った妊娠出産に係る検診、検査、分娩費用
・歯科医師による診療又は治療の対価で、著しく高額でないもの
・通院のための交通機関等の交通費
(3)控除額
1月1日から12月31日までの購入金額の合計額から次の①と②を控除した金額(上限200
万円)です。こちらも、申告者本人分だけでなく、生計を一にする配偶者その他の親族分も
含めることが可能です。
① 保険金等で補填される金額
② 10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%相当額)