2021/01/15
事務所通信1月号 2021
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
さて、2021年度の税制改正大綱が公表されました。今回の改正では、新型コロナウイルスで打撃を受けた企業や個人の負担を和らげるための措置や特例の創設・延長等、さまざまな改正案が提出されています。その中でも身近な改正案をご紹介します。
◆2021年度税制改正大綱
Ⅰ.住宅ローン控除の特例の延長等
消費税率10%引上げに伴う反動減対策の上乗せ措置である控除期間13年間の特例措置の適用期限を延長し、令和4年末までの入居者を対象とするとともに、この延長した部分に限り、合計所得金額 1,000万円以下の者について床面積要件を40 ㎡以上に緩和されます。
ただ、今後の留意点として、住宅ローン控除の控除率(1%)を下回る借入金利で住宅ローンを借り入れているケースが多く、その場合、毎年の住宅ローン控除額が住宅ローン支払利息額を上回っていること等が問題視されています。
例)住宅取得のため3,000万円を金利0.8%で借り入れた場合
住宅ローン支払利息 3,000万円×0.8%=24万円
住宅ローン控除 3,000万円× 1%=30万円
→ 支払った利息よりも6万円多く税額控除されている。
この点につき、令和4年度税制改正において控除額や控除率の在り方を見直すと言及されています。
Ⅱ.土地に係る固定資産税等の負担調整措置
令和3年度は、3年に一度の固定資産税の評価替えの基準年度にあたるため、本来であれば適正な時価に見直しがされ、固定資産税が課税されることになります。しかし、コロナの影響を鑑みて、宅地等及び農地の負担調整措置(固定資産税等の負担が急激に増えないよう課税標準額を段階的に引き上げる仕組み)について、令和3年度から令和5年度までの間、現行の負担調整措置の仕組みを継続し、その上で、令和3年度に限り、負担調整措置等により税額が増加する土地について、前年度の税額に据え置く特別な措置が講じられます。
Ⅲ.中小企業の所得拡大促進税制の見直し
中小企業における所得拡大促進税制について、給与等の支給額の増加割合の判定が継続雇用者(前期及び当期に渡り給与等の支給を受ける一定の者)への給与等の支給額から、雇用者全体の給与等支給額に着目した要件に見直され、その適用期限が2年間延長されます。
Ⅳ.中小企業の経営資源の集約化に資する税制
M&A(企業の合併買収)に関する経営力向上計画の認定を受けた中小企業者が、中小企業者の株式の取得後に簿外債務、偶発債務等が顕在化するリスクに備えるため、準備金を積み立てたときは、損金算入が認められます。さらに、M&A後の積極的な投資や雇用の確保を促す観点から、同計画に必要な事項を記載して認定を受けた中小企業者は、所得拡大促進税制の上乗せ要件に必要な計画の認定も不要となります。
上記以外の改正点については、必要に応じて来月号以降でご紹介して参ります。
なお、今後の国会における審議の過程において、項目の修正・削除・追加などが行われる可能性がありますのでご留意ください。
ご不明な点がございましたら、当事務所担当者までお問い合わせください。